ダブリンの人たち ジェイムズ・ジョイス

遭遇


僕たちに西部劇を持ち込んだのはジョー・ディロンだった。彼にはユニオン・ジャック、プラック、ハーフペニー・マーベルの旧刊号からなるちょっとした蔵書があった。毎夕、放課後に僕たちは彼の家の裏庭で会って、インディアン戦争ごっこをした。彼と彼の弟、怠け者のレオは馬屋の二階を陣地にし、一方僕たちはそれを急襲して攻め落とそうとした。あるいは僕たちは草地で正々堂々戦った。しかし、僕たちがどんなにうまく戦っても、僕たちは決して包囲戦にも地上戦にも勝つことはなく、どの一戦も必ずジョー・ディロンの戦勝の踊りで終わった。彼の両親は毎朝ガーディナー通りの八時のミサに出かけたし、ディロン夫人の平和の香りが家の玄関を支配していた。しかし彼の遊び方は年下で臆しがちな僕たちに対してあまりにも激しかった。古いティーポットカバーを頭に、ブリキ缶をこぶしでたたき、叫び声を上げながら、庭を跳ね回る時の彼はインディアンの一種族のようだった。

「ヤ!ヤカ、ヤカ、ヤカ!」

彼に聖職者の資質があると知らされた時、誰も信じようとしなかった。ところがそれは本当だった。

僕たちはわんぱく精神にあふれ、その影響で、教養や体格の違いを言うものはなかった。僕たちは団結した、あるものは勇敢に、あるものはふざけて、あるものはほとんど恐れて。そしてこの最後の、勉強好きとかたくましさに欠けるとか思われるのを恐れてしぶしぶながらインディアンとなった員数の一人が僕だった。西部劇の文学で語られる冒険は僕の気性とかけ離れてはいたが、少なくともそれが逃避へのドアを開けた。僕としては次から次へとだらしなく激しく美しい娘たちによって転回していくアメリカの探偵小説の方が好きだった。こういう物語に何も悪いことはないし、意図するところは時に文学的であったにもかかわらず、学校では秘密にまわし読みされた。ある日バトラー神父がローマ史の四つの出来事について聞いていたとき、レオ・ディロンのどじがハーフペニー・マーベルの一冊を見つけられた。

「この話かこの話か?この話か?さあ、ディロン、立て!『その日が』・・・続けて!何の日だ?『その日が明けたかと』・・・勉強したのか?何をそのポケットに入れている?」

レオ・ディロンが雑誌を手渡した時には皆の心臓がどきどきし、皆が知らない顔をよそおった。バトラー神父は顔をしかめつつページをめくった。

「何だこのくだらんものは?」と彼は言った。「アパッチの酋長!ローマの歴史を勉強をする代わりに読んでいるのがこれか?この下劣なものがこの学校で私の目に触れないようにすることだ。それを書いた人間は飲むためにこういうものを書く下劣なやつだろう。君たちのような教育を受けた少年がそんなくだらんものを読むとは驚きだ。もし君が・・・国立学校の少年ならわからんこともないが。さあ、ディロン、きつく忠告するが勉強にとりかかれ、さもないと・・・」

まじめな授業時間中のこの譴責により僕にとっての西部劇の栄光は大いに色褪せ、あわてるレオ・ディロンのふくれた顔は僕の良心の一端を目覚めさせた。しかし学校の抑制的な影響力から遠ざかると、僕は再び野蛮な感覚を、ああいう動乱の歴史記録だけが与えてくれるように思われる現実逃避を渇望し始めた。夕暮れの戦争の真似事もついには学校の決まりきった午前中同様、僕には退屈になった。僕は現実の冒険が自分に起こることを望んでいたからである。しかし現実の冒険は、と僕はとくと思案した、家にとどまっている人には起こらない、それは外国で探さなければならない。

夏休みが近づいた時、僕はせめて一日、学校生活の退屈から脱出しようと決意した。レオ・ディロンとマホニーという名の少年と共に僕は一日ふける計画を立てた。僕たちはおのおの六ペンス貯金した。僕たちはカナル・ブリッジで朝十時に会うことにした。マホニーの姉が彼のために口実を書くことに、レオ・ディロンは兄に頼んで病気と言ってもらうことにした。僕たちは波止場までウォーフロードに沿って行き、それからフェリーで渡り、歩いてピジョンハウスを見に出かけることに取り決めた。レオ・ディロンは校外に出ているバトラー神父か誰かと会うのではないかと心配した。しかしマホニーが、バトラー神父がピジョンハウスに出かけて何をしているはずがある、というきわめて賢い質問を放った。僕たちは安心した。それで僕は他の二人の六ペンスを集め、同時に自分の分の六ペンスを彼らに見せることで計画の第一段階を終えた。前夜、最後の打ち合わせをしている時、僕たちは皆、漠然とした興奮を覚えた。僕たちは笑いながら握手し、マホニーが言った。

「明日な、相棒!」

その夜、僕はよく眠れなかった。朝、一番近くに住む僕が橋に一番乗りした。僕は誰も来たことがない庭のはずれの灰殻穴の近くの長い草の中に本を隠し、運河の土手に沿って急いだ。六月の第一週の穏やかに晴れた日だった。僕は橋の笠石の上に座り、夜通し一所懸命に白粘土でみがいたぼろのキャンバスシューズをほれぼれと眺めたり、仕事に行く人々を乗せた鉄道馬車を引いて坂道を上る従順な馬を見たりしていた。遊歩道に沿って並ぶ高い木々のすべての枝に小さな明るい緑の葉が輝き、その隙間から日の光が斜めに水の上に落ちていた。橋の花崗岩が暖かくなり始めていて、僕はそれを頭に浮かぶメロディに合わせて両手でたたき始めた。僕は非常に幸福だった。

僕がそこに五分か十分座っていると、マホニーのグレーの服が近づいてくるのが見えた。彼はにこにこしながら坂を上り、橋の上の僕のそばによじ登った。待っている間に彼は内ポケットから出っ張ったぱちんこを取り出し、彼が加えたいくつかの改良点を説明した。僕は彼になぜそれを持ってきたのか尋ね、彼は何かちっとでも愉快にやろうと思ってそれを持ってきたと言った。マホニーはスラングを遠慮なく使い、バトラー神父のことをオールド・ブンザーと呼んでいた。僕たちは十五分以上待ち続けたが、それでもレオ・ディロンの来る兆しはなかった。マホニーはついに、飛び降りて言った。

「行こうぜ。でぶちんがびびってんのはわかってたさ。」

「それであいつの六ペンスは・・・?」と僕は言った。

「それは没収だ」とマホニーは言った。「そうすりゃ俺たちには余計にいいや――一シリングのはずが一シリング六ペンスだ。」

僕たちはノース・ストランド・ロードを歩き、ヴィトリアル・ワークスまで来てそこで右に曲がりウォーフ・ロードを行った。人目のない所に出るとすぐにマホニーはインディアンごっこを始めた。彼はぼろを着た少女の群れを玉をこめずにぱちんこを振り回しながら追いまわし、そして二人のぼろを着た少年が騎士道精神から僕たちに石を投げ始めると、彼らを襲撃すべしと提案した。少年たちが小さすぎると僕が反対し、それで僕たちは歩き続け、ぼろの群れは僕たちの後ろから「スワドラー!スワドラー!」と叫び声をあげていた。色黒のマホニーが帽子にクリケットのクラブの銀色のバッジを着けているので我々をプロテスタントと思ったのだ。スムーシング・アイロンのところに来た僕たちは包囲攻撃の配置についた。しかし少なくとも三人は必要だからそれは失敗だった。僕たちは、やつはなんて腰抜けだろうと言ったり、三時にライアン氏からいくつ食らうか当てっこをしたりしてレオ・ディロンに報復した。

僕たちはそれからリフィーの近くに来た。僕たちは両側に高い石の壁がある騒々しい通りをぶらつき、舷側の腕架や蒸気機関が動くのを眺めていたり、ギーギー軋む荷馬車の御者に突っ立っているんじゃないとたびたび怒鳴りつけられたりして長時間を過ごした。正午に埠頭に着き、人夫たちが皆、昼食をとっているようだったので、僕たちは大きな干しぶどうパンを二つ買い、川沿いの金属の配管の上に腰をおろして食べた。僕たちはダブリンの交易の光景を楽しんだ――遠くから渦巻く羊毛のような煙で合図するはしけ、リングセンドの向こうの茶色い漁船団、対岸の埠頭で荷を下ろしている大きな白い帆船。マホニーがあの大きな船の一つに乗って海に出て行くのはけっこういけてるなと言ったが、僕だって高いマストを眺めていると、学校ではあまり薬にもならなかった地理が次第に眼下に実体化していくのが見えた、いや、心に描けた。学校や家は僕たちから遠ざかっていくように思われ、僕たちへの影響力も衰えたようだった。

僕たちはフェリーの運賃を払い、二人の人夫とバッグを持った小柄なユダヤ人と一緒に運ばれてリフィーを渡った。僕たちは厳粛といえるほどまじめにしていたが、一度短い船旅の間に目が会って笑った。上陸した僕たちは、対岸から観察していた優雅な三本マストの船の荷揚げをじっと見ていた。居合わせた人があれはノルウェーの船だと言った。僕は船尾に行き、そこにある銘を解読しようとしたが、できなかったので、戻って外国人の船員を調べて誰か緑色の目をしていないかと見てみた。というのもちょっと混乱した観念が僕にはあって・・・船員たちの目は青やグレーや黒さえいた。唯一緑と呼べる目を持っていた船員は背の高い男で、厚板が倒れるたびに元気よく大声で叫び、河岸の群衆を楽しませた。

「オーライ!オーライ!」

この光景に飽きた僕たちはのんびりとリングセンドへとさまよいこんだ。蒸し暑い日となり、食料雑貨の店のウィンドでかび臭いビスケットはさらされるまま白くなっていた。僕たちはビスケットとチョコレートを買って、漁師の家族の住むむさくるしい通りをあちこち歩き回りながらせっせと食べた。牛乳屋を見つけられなかったので、香具師の店に入り、ラズベリーレモネードをそれぞれに一本買った。これで再び元気づき、マホニーは小道で猫を追いまわしたが、猫は広い原っぱへ逃げ込んだ。僕たちは二人ともかなり疲れていて、その原っぱに着くとすぐ、その尾根の向こうにドダーの見える土手の斜面へと向かった。

ピジョンハウスを訪れるという計画を遂行するには遅すぎたし、疲れすぎていた。冒険が露見しないように四時前には家に帰っていなければならなかった。マホニーは残念そうにぱちんこを眺め、僕が汽車で家へ帰ることを提案し、やっと彼は元気を取り戻した。太陽は雲の後ろに隠れ、僕たちをすさんだもの思いと食料のかすとともに置き去りにした。

その原っぱには僕ら自身のほか誰もいなかった。僕たちがしばらくの間、話もせずに土手の上に横になっていると、原っぱの向こうの端から一人の男が近づいてくるのが見えた。僕は女の子たちが運勢を占うあの緑の茎を一つ噛みながら、ものぐさに彼をじっと見ていた。彼は土手に沿ってゆっくりとやってきた。彼は片手を腰に当てて歩き、もう一方の手にはステッキを持ち、それで芝地を軽くたたいていた。彼は緑がかった黒のスーツをみすぼらしく身にまとい、山高の、僕たちがいつもジェリーハットと呼んでいたものをかぶっていた。彼は口ひげが灰色でかなりの年に見えた。僕たちの足元を通り過ぎる時、彼はすばやく僕たちを見上げ、それから歩き続けた。僕たちは彼を目で追い、五十歩ほども行った彼がくるりと向き直って後戻りを始めるのを見た。彼は常に地面をステッキでたたきながら非常にゆっくりと僕たちの方に向かって歩き、あまりゆっくりなので僕は彼が草の中に何かを探していると思った。

僕たちのいる位置まで来て彼は立ち止まり、こんにちはとあいさつした。僕たちは応え、彼は僕たちのそばの斜面にゆっくりと、ばかに注意深く腰を下ろした。彼は天候のことを話し始め、とても暑い夏になりそうだと言い、季節は彼が子供の時――ずっと昔のことだ――以来すっかり変わってしまったと付け加えた。人の一生でいちばん幸せなのは疑う余地なく学校時代であり、もう一度若くなれるなら何でも差し出すと彼は言った。彼が僕たちにはちょっと退屈なこういう感傷的な考えを吐露する間、僕たちは沈黙を守った。それから彼は学校のこと、本のことを話し始めた。彼はトマス・ムーアの詩やサー・ウォルター・スコットやロード・リットンの作品を僕たちが読んだかどうか尋ねた。僕が彼が名をあげた本をすべて読んだことがあるふりをしたのでついに彼は言った。

「ああ、わかるよ、君も私と同じような本の虫だね。ほら、」彼は目を見開いて僕たちを眺めているマホニーを指して付け加えた、「彼は違う。彼は遊びに夢中だ。」

彼は家にサー・ウォルター・スコットの作品を全部、ロード・リットンの作品を全部持っているがそれらを読んでいて飽きることは決してないと言った。「もちろん、」彼は言った、「ロード・リットンの作品には少年には読めないものもある。」マホニーがそれはなぜ少年には読めないのかと尋ねた――その質問に僕は、マホニーと同じようにばかと思われるのではないかと思い、動揺し、苦痛を感じた。しかしその人はただ笑っただけだった。彼の黄色い歯の間に大きな隙間があるのが見えた。それから彼はたくさん恋人がいるのはどちらかと尋ねた。マホニーは気軽にスケは三人、と口にした。その人は僕には何人いるか尋ねた。僕はいないと答えた。彼は僕の言うことを信じないで、確かに一人はいるに違いないと言った。僕は黙っていた。

「ねえ、」マホニーは生意気にその人に言った、「そういうあなたは何人いるの?」

その人は前と同じように笑い、僕たちの年の頃にはたくさんの恋人がいたと言った。

「どんな少年にも、」彼は言った、「かわいい恋人がいる。」

この点での彼の姿勢はその年の男にしては不思議なほど開放的だと僕は感じた。内心僕は少年と恋人について彼が言ったことはもっともだと思った。しかし僕は彼が口にする言葉は嫌だったし、彼が一度か二度、何かを恐れたり突然寒気を感じたりするかのように震えたのはどうしてだろうと思った。彼は話し続け、僕は彼のアクセントが良いことに気づいた。彼は女の子のことを僕たちに話し始め、彼女たちの髪が何とも素敵で柔らかいこと、どんなにか彼女たちの手が柔らかいこと、そして知ってみさえすればどんな少女も思ったほど良くはないことを話したりした。彼が何よりも好きなのは素敵な若い少女を、その素敵な白い手や美しく柔らかな髪を見ることだと彼は言った。何か暗記していることを彼は繰り返している、あるいは自身の話すいくつかの言葉の磁力により彼の心が同一軌道をゆっくりぐるぐると回っている、そんな印象を彼は僕に与えた。時に彼は単に誰もが知っている何かの事実をほのめかすかのように話し、時に彼は他人に聞きつけられたくない何か秘密のことを語るかのように声を低め、謎めかして話した。彼は何度も何度もいくつかのフレーズを繰り返し、単調な声でそれに変化を添え、その回りを巡らした。僕は彼に耳を傾けながら、斜面の下の方を見つめ続けていた。

長い時が過ぎ、彼のモノローグがやんだ。一分かそこら、いや数分離れなければならないと言って彼がゆっくりと立ち上がり、そして、僕は同じ方向を凝視したまま、彼が僕たちのところから原っぱの手近の端へゆっくりと歩み去るのを見た。彼が行ってしまっても僕たちは黙り続けていた。数分の沈黙の後、僕はマホニーの叫び声を聞いた。

「おい!見ろよあいつのしてること!」

僕が答えもせず目も上げなかったのでマホニーは再び声を上げた。

「おい・・・変なじじいだなあ!」

「彼が僕たちの名前を訊いた場合は、」僕は言った、「君はマーフィーにしよう、僕はスミスにするから。」

僕たちは互いにそれ以上何も言わなかった。その人が戻ってきて再び僕たちのそばに座った時に立ち去ったものかどうか、僕はなおも考えこんでいた。彼が座ったかと思うと、マホニーは逃がした猫を見つけ、跳び上がり、原っぱを横切って追いかけた。その人と僕は追跡を見ていた。猫はまたもや逃げ、マホニーは猫が登った壁に石を投げ始めた。これもよして、彼は原っぱの遠くの端を当てもなく歩き回り始めた。

間をおいてからその人は僕に話しかけた。彼は僕の友達は非常に粗暴な少年だと言い、彼は学校ではしょっちゅう鞭で打たれるのかと尋ねた。僕たちは彼の言う鞭打ちを受ける国立学校の少年ではない、と僕は憤然と答えようとしかけたが、黙ったままでいた。彼は少年を折檻する問題について話し始めた。彼の心は、再び自分の話の磁力に引きつけられるかのように、新たな中心の周りをゆっくりぐるぐると回っているようだった。少年がああいう時は鞭打たれる、上手に鞭打たれるべきだと彼は言った。少年が乱暴で手におえない時には、思いやりある健全な鞭打ちが何より彼のためになる。手を打ったり横面を張るのはよくない。彼が望むのは気持ちよく優しい鞭打ちを受けることだ。僕はこの趣考に驚き、思わず彼の顔をチラッと見上げた。その時、僕はぴくぴくひきつる額の下から僕を見つめる二つの暗緑色の目の凝視に出会った。僕は再び目をそむけた。

その人はモノローグを続けた。先ほどのリベラリズムは忘れてしまったようだった。彼は言った、少女たちに話しかける少年、少女を恋人に持つ少年を見つけるようなことがあったら鞭打って、鞭打ってやる、それが彼に少女たちと口をきいてはいけないと悟らせるだろうと。そしてもし少年に恋人の少女がいるのにそのことで嘘をついたらその時は彼にこの世のどんな少年も受けたことがないほどの鞭を与えてやる。それくらい彼がやりたいと思うことはこの世にはほかにないと彼は言った。僕にそのような少年を鞭打つさまを描写する彼はまるで手の込んだ謎を明らかにしているかのようだった。それをしたくてたまらない、と彼は言った、この世のどんなことよりも、と。そして彼の声、その謎を通じて単調に僕を導きながら、それはほとんどいとおしむような声になり、僕に理解して欲しいと嘆願するように思えた。

僕は彼のモノローグが再び中断するのを待った。それから出し抜けに僕は立ち上がった。僕は動揺を露呈しないよう、靴をきちんと結ぶふりをしてしばらくぐずぐずし、それから行かなくてはならないからと言って彼にさようならの挨拶をした。僕は静かに斜面を上ったが、彼が僕の足首をつかむのではないかと恐れ、心臓は激しく鼓動していた。斜面の頂上に着いた僕は振り向き、そして彼を見ることなく、原っぱの向こうに大声で呼びかけた。

「マーフィー!」

僕の声には無理やり勇ましがるアクセントがつき、僕は自分のつまらない策略を恥じた。僕はもう一度名前を呼ばなければならず、それでマホニーが僕を見ておーいと応えた。彼が原っぱを横切って僕の所へ駆けてくる時、どんなに僕の心臓がどきどきしたことか!彼は僕を助けに来るかのように走った。そして僕は悔いていた。心の中でいつも僕は彼を少し軽蔑していたからだ。


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