メイカーズ 第三部, コリイ・ドクトロウ

第三十六章


デス・ウェイツは待っていた。首を長くしてライドがオンライン上に戻ってくるのを待ち続けていた。一日の半分は家に引きこもってあの物語について記事を書いたり、他のライドの3D版ライドの中を飛び回ったり、ブラジルで何が起きているのかを見守って彼は過ごしていた。残りの時間は新しい友達たちとライドに行って、働くみんなを励まして過ごした。ペリーとレスターがライドを元通りにするのを手伝う仲間たちのことだ。お願いだから急いでくれと彼は思った。これ以上ライドに乗れないと気が狂ってしまいそうだった。彼の身に起こったこと全てを勘案すれば彼にはライドに乗る資格があるはずだ。

友達たちはすばらしい人物たちだった。文句なしだ! とりわけレイシーはすばらしかった。彼女は看護師であり慈悲深い女神だった。彼の生活のためにもっと金が必要だと彼の友達が知らせればいつでもPayPal口座に金が押し寄せた。もはや彼が人々との触れ合いや共に過ごす伴侶、尊敬を渇望する必要はなかった。すばらしい生活だった。

あとはライドがオンラインに復帰してくれれば言うことなしだ。

彼はレイシーの隣で目覚めた。彼女はまだ眠っていてその髪が枕の上に広がっている。艶のある黒髪には青いメッシュがはいっている……何日か前に彼女が彼に揃いのメッシュを入れてくれたので今では二人はお揃いの髪型だった。気だるげに彼はその柔らかい肌に手をそわせた。彼女のタトゥーの縁を、そしてインプラントやピアスをなぞっていく。自分の足の間で血が沸き立つのを彼は感じた。

レイシーがあくびをして目覚め、彼にキスした。「おはよう。私の王子様」彼女が言った。

「おはよう。お姫様。今日のご予定は」

「あなたが望むことならなんでも」彼女が答える。

「朝食にしよう。それからライドだ」彼は言った。「それから今日はメールを処理して返事を書かなくちゃ」

「朝食の前に何か忘れていない?」彼女がねじれたような笑みを浮かべて尋ねた。とても魅力的だ。

「ああそうだった」息を弾ませながら彼は答えた。


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