アメリカ大統領就任演説

ロナルド・レーガン第ニ期大統領就任演説


1985年1月21日

マシアス上院議員、バーガー最高裁判所長官、ブッシュ副大統領、オニール下院議長、フォール上院議員、聖職者の方、私の家族や友人や国民のみなさん。

さしあたって欠席しているジョン・ステニス上院議員が今日ここに出席されていれば、より輝きをましたことでしょう。

神のご加護がありますように、そしてようこそここに。

ただ、今日われわれと一緒に同席していない人が一人います。フジル・ロング、ルイジアナ下院議員は昨晩なくなりました。われわれみなでしばらく黙祷をささげたいと思います。(しばし黙祷) アーメン。

あなたがたが私に授けてくれたすばらしい名誉に対して、感謝の念をどれほど表しても十分とはいえないでしょう。あなたがたの信頼にこたえるべく、最善をつくしたいと思います。

マシアス上院議員が私に言うには、この大統領就任演説はわれわれ国民がこの歴史的なときを祝ってから50回目にあたるそうです。初代大統領のジョージ・ワシントンが聖書に手を置いたとき、かれは粗野な未開の荒地から馬で1日ほどの場所に立っていました。当時は13の州に400万のアメリカ人がいましたが、今日50の州にその60倍の人々がいます。われわれが発明したもので世界を照らし、世界中どこへでも助けを求める声がするところに行き、月に旅行し無事にもどってきました。それほどの変化があったのです。それにもかかわらず、われわれは2世紀前と同じように一緒にここに立っています。

私が4年前に誓ったときは、経済的な重圧の中にいました。偉大さと栄光に彩られた過去を振り返らなければならないといった声がまわりから上がっていました。しかしわれわれ、現在のアメリカ国民は過去を振り返る必要はありません。このめぐまれた国土には、常によりよい明日があるのです。

4年前、私はあなたがたに新しい始まりについて語り、われわれはそれをなしとげました。しかしある意味では、われわれの新しい始まりは、2世紀前に歴史上初めて人民の政府がわれわれの主人ではなく、われわれに仕えるものとなったときからの綿々たる連なりなのです。

政府こそが、われわれ人民が権力をもつことを許す唯一のものなのです。

このシステムは決してわれわれの期待にそむくことはなかった。ただ時には、われわれはシステムの運用に失敗しました。われわれは政府には供給できないようなものを政府に求めたのです。われわれは、本当は州や自治体や人民自身に属するはずの権力を、挙国一致政府にまかせてきた。われわれは税金やインフレがわれわれから稼ぎや貯金を盗むままにし、われわれを地球上でもっとも生産力のある国民にしてきた偉大なる産業機構がスローダウンし、失業者数が増加するのを見守ってきたのだ。

1980年までには、われわれは信条を新たにするときであることを知っていました。われわれの全ての力をふりしぼって、個人の自由が秩序ある社会と調和する最終段階を目指して。

われわれは当時も今もこういうことを信じていた。男女が自由に自分の夢を追い求めれば、発展と人類の進歩には限りがないということを。そしてわれわれがそのことを信じたのは正しかったのです。税率は低くなってきて、インフレは劇的に沈静化した。そして歴史上かつてないほど失業率は低くなっている。

われわれはこの国をふたたび活気に満ちた、頑強で、生き生きとした場所としていこう。だが、まだ登るべき山は多い。われわれは、全てのアメリカ人が自由や尊厳や機会を存分に生まれながらの権利として享受するまで休息することはない。それは、この偉大な共和国の市民としての生まれながらの権利であり、われわれはこの目標を達成しなければならない。

アメリカ人が進歩の自信や伝統をとりもどすまでには、何年もかかることだろう。そのときには、われわれは信仰、家族、仕事、隣人の価値を現代のものとして取り戻す。そのときには、われわれは経済を政府の統制下から最終的に解き放つ。そのときには、われわれが重要な兵器削減、防衛と経済の再構築、そして新しいテクノロジーを発展させるのに真摯な努力をして、トラブルにみちた世界で平和を保つ助けとなる。そのときには、アメリカ人が勇気をもって世界中の自由、自治や自由な進取の気性への努力を支持したり、歴史の潮流を全体主義の暗黒から人類の自由の温かい日ざしへと変えるのだ。

わがアメリカ国民よ、われわれの国は偉大さに備えなければならない。われわれは自身で正しいと思うことをしなければならない、神の助けをかりてそれをしなければならない。歴史がいうように「黄金の時があった、アメリカ独立戦争が再生したとき、自由が新しい生命をえたとき、アメリカがベストをつくそうとしていたとき」

われわれの2大政党制は、何年ものあいだすばらしく機能してきたが、われわれが民主主義か共和主義かではなく、共通の大義の下に結束したアメリカ人として集まったときほどすばらしいチャレンジをしたときはない。

われわれの建国の父たちの2人、アダムスという名前のボストンの弁護士とジェファーソンという名前のヴァージニア入植者、インディペンデンス・ホールでその顔をみて、彼らは世界を再び始めることができるだろうかと考えたりさせるあの著名なグループのメンバーは、われわれに貴重な教訓を残してくれました。かれらは1800年の大統領選挙では政治的に対立する関係になっていました。それから数年後、2人とも引退して、年をとって怒りもおさまり、2人は文通でお互いに対話をはじめました。このわれわれの政府を築くのに力を貸した2人の間に再びきずながもどったのである。

1826年、独立宣言の50周年に、2人はともになくなりました。2人は同じ日に、数時間差でなくなりました。その日は7月4日でした。

2人が晩年に交わした手紙の一通では、ジェファーソンはこう書いています。「わたしはあのときのことを思い出す。困難と危険に満ちていたが、われわれは同じ大義の下に集まった同志で、人類にとって、もっとも価値があるもの、つまり自治の権利を求めて奮闘したときのことを。いつも同じオールをもって取り組み、行く手にはわれわれを飲み込もうとする波があるが、無傷でのりきってきた……われわれは心から進んであらしを乗り切ってきました」

さて、心から進んで、一人の人間として今日立ちあがろ。神の下の一人の人間として、われわれの将来がわれわれの過去に値するものであるように決心しよう。われわれがそうすれば、過去の善意によるエラーをくりかえすことはない。われわれは働く男女の信頼に、かれらの稼ぎをうぬぼれた連邦の支配者層の際限なく要求されるものがむだに追い求められて、再びつけこむようなことがあってはならない。あなたがたは、1980年にこの失敗する処方箋をやめさせるためにわれわれを選挙で選んだ。あなたがたが、われわれをその流れを逆行させるために1984年に再選させたとは私は信じない。

われわれの努力の本質は、25ヶ月連続の経済成長によって正しいと証明されている。自由とインセンティブは、人類の進化の本質である推進力と企業家の精神を解き放つ。われわれはその仕事、貯蓄、投資からもたらされる報酬をふやしはじめてきた。われわれはコストの増加や政府の大きさ、人々の生活への干渉の増加を少なくしはじめてきた。

われわれは、税制を簡素化しなければならない、より公正なものとして、全ての働いて報酬を得るものに対して税率をさげなければならない。われわれは、改めて考え直して大胆に行動しなければならない。そして仕事を求めている全てのアメリカ人が、仕事を見つけられるようにしよう。そしてわれわれの誰もが偉大なことをなしとげる、つまりわれわれの病気をいやすヒーローになり、空腹を満たし、国と国の間の平和を保ち、この世界をよりよい場所にすることをなしとげる平等なチャンスをもてるようにしよう。

新しいアメリカの奴隷解放のときがきている。国家をあげて、経済の障壁を取り除き、われわれの国でもっとも困窮している地域において企業心をときはなつことを推進するときが。わが国民よ、ともにこれをなしとげよう、なしとげなければならない、そして神が助けてくれるだろう。成長への新しい機会は新しい自由から生まれるだろう、それはより生産的で、充実して結束した人々、そしてより強いアメリカ人であり、テクノロジー革命を先導し、精神と心と魂を文学、音楽、詩の宝庫や信仰、勇気、そして愛の価値へと開くアメリカ人である。

働いて税金を支払うより多くの国民による活発な経済は、予算の赤字を削減するもっとも強力な集団となるだろう。しかしほぼ50年にもおよぶ赤字の垂れ流しが、最後にはわれわれを清算するときに至らせたということだ。われわれはターニングポイント、厳しい選択をせまられているときにさしかかっている。私は閣僚やスタッフに一つ疑問をなげかけたことがある。そして今、私は同じ疑問をわれわれみなになげかけたい。われわれにでなければ、誰に? 今でなければ、いつ? われわれみなは、均衡した予算を達成するという目的のプログラムを遂行しなければならない。それからわれわれは、国家の借金を削減しはじめることができる。

私はすぐに、連邦議会に来年の政府の予算を凍結することを目的とした予算を提出したい。そのうえ、われわれは税とその使い方についての政府の力を永久に管理するために前進しなければならない。われわれは今、将来の世代を守るために、借金をしはらうときに政府がその国民の金を使い込んだり、奴隷状態になるほどの税金をかけたりしないように行動しなければならない。連邦政府が収入以上に使うことは、憲法違反ということにしようではないか。

われわれは既に、より自身で責任をもってかかわれる人民や州や地方政府のところへ回帰し始めている。ただ、社会的な思いやりについては連邦政府にも適切な役割がある。しかしわれわれの基本的な目的は、従属を解き、弱く不利な立場のものの尊厳を高めることでなければならない。そして今、成長する経済と家族やコミュニティの支持がわれわれに、このような社会を実現するもっともいいチャンスを提供している。つまり思いやりが一つの生き方であり、老人や弱いものはケアをうけ、若者や、そうだ、まだ生まれていないものが保護され、そして不幸なものに関心がはらわれ自身をとりもどせる社会を。

そして、連邦政府が役割をはたせる場所はほかにもある。年をとった一人のアメリカ人として、私はわれわれの国のさまざまな人種や信条や民族の人々が、社会のしきたりや、そうだ、法律によってうめこまれた悪意や偏見を見たときを思い出す。われわれの歴史でこれほど勇気づけられる話があるだろうか。つまり神がわれわれの使命とした「人類の兄弟愛」を目指してきたわれわれの過程の話ほどに。全ての国民が尊厳にみちて、機会にあふれているアメリカへの道には引き返したり、躊躇したりすることはないだろうと心に決めてほしい。

われわれみなが、白人も黒人も、富める者も貧しき者も、若者も年よりもともに手に手をとって前進するような機会にあふれたアメリカ社会を築くことを心に決めようではないか。われわれの受け継いだものは地球上のあらゆる場所からの人々の血縁だが、われわれはみな、この永遠につづく、地球上でもっとも素晴らしい人類の希望を受け継いでいくことを誓ったアメリカ人であることを再び思い出そうではないか。

私は、われわれが挙国一致政府に課した自国内の目標や制約について話してきた。私に挙国一致政府の第一の責任、つまりわれわれ国民の安全と無事をまもる仕事にとりかからせてほしい。

今日、われわれは地球上での平和のための過去の祈りより熱心な祈りの言葉を口に出すわけではない。しかしながら歴史は平和が実現していないことを示している。そればかりか自由も十分ではない、ただ善意があるだけである。世界には、われわれの人間の尊厳や自由の理想を貶める人々もいるだろう。ある国、ソ連は人類の歴史上かつてないほど強大な軍隊を組織してきて、恐ろしい攻撃用武器の武器庫を作ってきた。

われわれは防衛能力を高める努力をしてきた。しかしするべきことは、まだたくさんある。アメリカが自由、安全、平和を守るために責任を果たすだろうことを、われわれは浮き足だってはならないし、ましてや他の国に疑われるようなことがあってはならない。

国防の費用を削減するためには、安全で妥当な方法がたった一つだけある。それは、国防の必要性を減らすための方法でもある。それは、ソ連と交渉をもつようにすることである。われわれは核兵器のさらなる増加に上限を設ける話し合いをするだけではない。その代わりに、われわれはその数を減らそうとしている。われわれはいつの日か、地球上から核兵器を全廃しようとしている。

さて、何十年も、われわれとソ連は相互に確実に破壊をもたらす恐怖の下で暮らしてきた。もし片方が核兵器に訴えるようなことがあれば、もう片方は始めた側に報復し、破壊しつくすことだろう。もし片方がわれわれ何千万人を殺すと脅すなら、われわれの唯一の頼みの綱は相手の何千万人を殺すと脅すことであると信じるのに論理やモラルがあるだろうか?

私は、もしできるなら、核ミサイルが標的に達する前に破壊する防御シールドを見出す調査プログラムを認めてきた。それで人が死ぬことはない、それは兵器を破壊するだろう。それは宇宙を軍備するわけではない、それは地球の兵器庫の軍備を解くだろう。それは核兵器を無力にするだろう。われわれは、世界を核の破壊の脅威から自由にする方法で合意できる希望をもちながら、ソビエトと相対することができる。

アメリカは自由の一番信頼できる友人でなければならない、なぜなら自由はわれわれの一番の味方であるから。

そして、貧困を根絶し平和を維持するためには、それが世界の唯一の希望である。貧困にくらわせる一撃一撃が、抑圧と戦争の暗い結びつきへの一撃となるのである。人類の自由の全ての勝利が、世界平和への勝利となるのである。したがって今日われわれは前進しよう、国は若くまだ力があり、その意思は強い。われわれは同盟国に力づけられ、われわれの経済が世界を新しい経済の発展に導くので、世界が豊かになる大きな可能性に期待している。そしてこれらはすべてわれわれが働き、ともに行動するためであり、政党のメンバーだからでなく、アメリカ人であるからである。

国民よ、われわれは明かりで照らされている世界に生きている。多くのことが変化しており、これからも変化するだろう、しかし多くのことに耐え、時を超越しよう。

歴史はつねにひろげられているリボンのようなものである。歴史は旅である。そしてわれわれが旅を続けるとき、われわれの前に旅していた人々のことを考えよう。われわれは再び、この民主主義のシンボルの階段に立っています。もしこれほど寒くなければ、外の階段に立っていたかも知れません。今、われわれはこの民主主義のシンボルの内側に立っています。今、われわれは再び、過去のこだまを聞きます。一人の将軍が、フォージバレーでの激しい雪のなかでひざを落としています。大統領は一人孤独に暗いホールを歩き、そして連邦を維持するためにどうすればいいか考えています。アラモの男たちは、お互いを鼓舞しています。一人の開拓者が西へ進み、歌を歌っています。そしてその歌は永遠にひびきわたり、知らずのうちに辺りを満たしています。

それこそがアメリカの歌です。希望や自信にみちて、理想主義的で、勇気があり、慎み深く、フェアーです。それが、われわれが受け継いだものです。それがわれわれの歌であり、われわれは今でもそれを歌っています。われわれの全ての問題や、われわれの相違に対して、このもっとも美しいしらべの音楽の作曲者である神へわれわれの声をあげるときに、昔からともに力をあわせてきた。そして神はわれわれが世界をこの歌で満たそうとするように、われわれを側においているのだろう。声をあわせた愛着、愛情にみちた歌であり、神の下の一人の人間として、神が人間の心に置いた自由の夢に専心し、その夢を待ち構えている希望に満ちた世界へと受け渡すように。

神のご加護があなたがたとアメリカにありますように。


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