形態の基本的要素, ワシリー・カンディンスキー

形態の基本的要素


最近まで全く別々だと見なされていた諸分野が、ようやく統一の兆しを見せ始めている。バウハウスの仕事に課された使命を総じて言えば、この統一に貢献することである。互いに切磋琢磨するこの新しい諸分野は、芸術一般、中でもまず第一に造形芸術(建築、絵画、彫刻)、科学(数学、物理学、化学、心理学などなど)、および、技術の可能性と経済的要因としての産業である。

バウハウスにおける仕事は、一つの総合的仕事である。総合的方法は、明らかに、それ自身の中に分析的方法も含む。この二つの方法の連携が不可欠である。

形態の基本的要素についての理論も、この基礎の上に建てられなければならない。

一般的に、形態の問題は次の二つの部分に分けて考えなければならない。

  • 狭義の形態――平面と空間
  • 広義の形態――色彩、および色彩と狭義の形態との関係

どちらの場合でも、最も簡単な形から複雑な形へと、計画的に仕事を進める必要がある。

そうすれば、形態の問題の第一部では、平面は3つの基本的要素――三角形、正方形、円――へと還元され、空間も、そこから生起する空間の基本的要素――ピラミッド、立方体、球――へと還元される。

無色の平面や空間など存在しえない。換言すれば、狭義の形態も、実際には、まさに広義の形態として研究されねばならない。だから、形態の問題を二つに分類したのも、ただ型どおりにやればそう分けられるというだけで、他方では、二つの部門の有機的関係は最初から確定されている必要がある――形態の色彩に対する関係と、その逆の関係が。

ようやく誕生した芸術学は、このような問題設定に対し、芸術史的観点からは何の解明も与えられない。それゆえ、当面はそういう方向への道が開かれることが必要である。

そうすると、個々の研究はどちらも同じく重要な二つの課題に直面する。

  • 与えられた現象の分析を行なうこと。この分析は、可能な限り[他の現象から]切り離されて行なわれなければならない。
  • 初めは独立して研究された現象を、互いに連結させること――総合的方法。

第一の研究は、可能な限り狭く限定的に、第二の研究は可能な限り広く自由に。

1923年
bauhaus katalogbuch 1919–1923

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