ガンジーからヒトラーへの手紙, マハトマ・ガンジー

一通目


インド、C.P.、ワルダにて
一九三九年七月二十三日
友へ

慈悲の心のためにあなたへの手紙を書くよう友人たちが私に勧めました。しかし私は彼らの要求を退けていました。どのようなものであれ私からの手紙は無礼になると感じたためです。予断を持ってはならない、何に対してであれ訴えかけるのであればその訴えを価値あるものにしなければならないという気がしたのです。

今日のこの世界で、慈悲の心を損ない野蛮な状態をもたらす戦争を防ぐことのできる人物の一人があなたであることは明白です。その目的のために見合わぬ代償をあなたは支払わなければならないのでしょうか? 戦争という方法を慎重に避けて少なからぬ成功をおさめた者の訴えを聞いてはいただけないでしょうか? もし私があなたへ書いたことの中に間違いがあれば、どうぞお許しください。

常にあなたの誠実なる友
M・K・ガンジー

ドイツ
ベルリン
ヒトラー殿


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