モロー博士の島, ハーバート・ジョージ・ウェルズ

森に潜むもの


私は家屋の後ろの尾根を覆う下生えの中をどこへともなく大股に歩いていった。真っ直ぐのびた頭上の木々が落とす黒々とした影の中を通り過ぎ、しばらくして気づいた時には尾根の反対側の道を狭い谷を流れる小川に向かって歩いているところだった。私は立ち止まって耳をすました。遠くまで来たからなのか、大量の下生えに遮られたからなのか、あの囲い地からの音は止んでいた。あたりは静まり返っている。その時、かさかさという音と共に一匹のウサギが現れ、私の目の前の斜面を駆けて行った。しばらくためらってから私は木陰のふちに座った。

居心地の良い場所だった。小川は岸の一ヶ所に生い茂る植物に姿を隠していた。きらきらと輝く水の表面がわずかに見えた。遠くまでもつれ合う木々とつるの青みがかったもやが続き、その上には輝くような青空があった。いたるところに生えた着生植物の花によってそこら中に白や赤色のまだら模様ができている。しばらくの間、私はその風景をぼんやりと眺めていたが再び思考はモンゴメリーの奇妙な使用人へと向かって行った。しかし深く考えるにはあまりに暑すぎて次第に私はまどろみと覚醒の狭間のうとうとした状態へと落ちていった。

どれくらい経っただろうか。小川の反対岸の茂みから聞こえるかさかさという音で私は我に返った。しばらくの間はシダや葦の上の方が揺れるの以外は何も見えなかった。突然、小川の岸に何かが現れた……初めはそれが何か私にはわからなかった。それは屈み込んで水に丸い頭を近づけると水を飲み始めたのだ。その時になってようやく私はそれが獣のように四足で歩いている人間であることに気づいた。青みがかった服を身につけ、赤銅色の肌に黒い髪をした男だった。そのグロテスクで醜悪な様子はこれまで見てきたこの島の人間と同じもののように私には思えた。彼の唇がたてる水をすする音が聞こえてくる。

私は男をよく見ようと身を乗り出したがその時、小石が私の手の下から転げ落ち、音をたてて斜面を転がって行ってしまった。男が怯えたように顔を上げ、その目が私と合う。彼はすぐに跳ね起きると不器用に手で口を拭って私の方を見つめた。彼の足は胴の長さの半分も無かった。互いに怯えたように見つめ合いながら一分ほどもそのままでいただろうか。それから男は一、二度立ち止まって後ろを振り返りながら右の方の茂みへと逃げ込んだ。下生えの葉が擦れる音が遠くでかすかにしたがそれもやがて消えた。彼が消えた後も長い時間、私は彼の去っていった方向を見つめながら座った姿勢のまま過ごした。まどろむような眠気は消え去っていた。

背後で物音が聞こえ、私ははっとした。急いで振り返るとウサギの白い尾が揺れながら斜面の上へと消えて行くところだった。私は跳ね起きた。このグロテスクな半獣人の出現が一転して午後の静寂を変えた。私は不安気にあたりを見回し、自分が武器を持っていないことを悔やんだ。それから私は、あの男は青っぽい服を着ていた、野蛮人のように裸ではなかったと考え直し、彼はおそらくは平和的な性格なのだと自分を説得しようとした。その顔つきの残酷さとは矛盾することではあったのだが。

私は男の出現で多いに動揺していたのだ。道とまっすぐに伸びる木々の幹の間をうかがい、目を凝らしながら私は斜面にそって左へと歩いていった。なぜあの男は四足で歩きまわり、口をつけて水を飲んだのだろう? しばらくするとまた動物のうめき声が聞こえてきた。あのピューマであることは間違いない。私は向きを変えると音と逆の方向へと歩みを進めた。しばらくすると小川に行き当たり、私はそれを渡って下生えをかき分けるようにしながら進んだ。

地面に広がる真っ赤な模様に私ははっと驚いた。近づいてみるとまるで奇妙なキノコのように見える。葉状地衣類のように枝分かれし波打っていたが触れてみると粘液のようにネバネバとしていた。その瞬間、生い茂ったシダの影に私は気分の悪くなる物を見つけたのだ……光沢に輝く蝿に覆われたウサギの死骸だった。まだ生暖かかったがその頭部はちぎり取られていた。鮮血が飛び散る光景に驚いて私は身動きできなくなった。少なくともこれをおこなった何者かがこの島にいるのだ! あたりには他には暴力の痕跡はなかった。まるで突然捕らえられて殺されたように見え、小さな毛皮に包まれた死体からはどのような凶行がおこなわれたのか推測することは困難だった。小川で出会ったあの男の人間離れした顔を見た時から私の心に浮かんでいた漠然とした恐怖が立ち尽くしている間にも次第にはっきりとしてくる。私はあの得体の知れない人々がいる島を一人探索する自分の向こう見ずさに気づき始めた。私には周囲の茂みが今までと違ったものに見えてきた。全ての影がもはや影以上のもの……何かが潜む場所へと変化し、全ての物音が私を脅かした。目に見えない何かが私を監視しているようだった。浜辺の囲い地へ戻ろうと決心すると、私は急いで向きを変えて藪の中を半狂乱といっていいほど乱暴な動作で力の限り駆けた。とにかくもう一度開けた場所に出たかったのだ。

開けた場所に出る直前で私は足を止めた。そこは森の中にできた空き地だった。木々が倒れたために出来上がったのだろう。既に空いた場所に若木が芽吹き始め、密集した幹や絡みつくぶどうの蔓、散らばるように生えたキノコや花々に再び占拠されようとしていた。目の前に三人のグロテスクな人影が見えた。皆、菌糸で覆われた大きな倒木の上にしゃがみ込み、まだ私が近くにいることに気がついていない。一人は明らかに女で、他の二人は男だった。彼らはほとんど裸で赤い布をかろうじて体に巻きつけているだけだった。肌は鈍くピンクがかったくすんだ色で私はこんな未開の人間は見たことがなかった。太った厳めしい顔には顎が無く、後退した額の上にわずかに剛毛が生えている。今まで見たことも無いような獣じみた見かけの人間たちだった。

彼らは話をしているようだった。どうやら一人が他の二人に何か言っているらしい。三人は何かに夢中で、私が近づく音にも気がついていなかった。彼らは頭と肩を盛んに左右に振っていた。話している者の言葉は不明瞭で訛っていて声ははっきり聞こえるのに彼が何を言っているのかはよくわからなかった。何か複雑だが意味のない言葉を暗唱しているように見えた。次第に彼の声は甲高いものになってゆき、彼は腕を広げて立ち上がった。その時、他の二人が同じように立ち上がって暗唱に加わった。腕を広げ、詠唱のリズムに合わせて体をゆらす。その時になって私は彼らの腿が異常に短く、足先が妙に長く不恰好なものであることに気がついた。ゆっくりと三人は輪になると足を踏み鳴らしては腕を振りはじめた。リズミカルな詠唱が繰り返され、やがて歌のようになった……。「アローラ」あるいは「バローラ」、そんな風に聞こえた。彼らの瞳が光を放ち始め、その醜い顔が奇妙な喜びの表情で輝く。唇からはよだれが滴り落ちていた。

彼らのグロテスクで奇妙な仕草を見ているうちに突然、なぜそれがこうも私に居心地の悪さを感じさせるのかが初めてはっきりとわかった。見たこともない奇妙なものだという思いと奇妙な懐かしさを感じるという思い。矛盾し相いれない二つの感情を私は感じているのだ。謎の儀式に励む三人は人間の形をしている。しかし奇妙なことによく見知った動物の雰囲気を身にまとっているのだ。人間のなりをし、ボロ布を見にまとい、その身体の形状は大まかには人間のそれであるにも関わらず三人とも……その動きに、顔に浮かぶ表情に、その存在そのものに……否応なくイノシシの特徴や豚のような汚らしさ、疑いようのない獣の特徴を見出すことができた。

私はこの驚くべき思いつきを頭から振り払おうとしたが、そこでとてつもなく恐ろしい疑問が私の頭に浮かんだ。彼らはまるで豚のような声で奇声を上げながら一人、また一人とあたりを跳ねまわり始めた。その時、一人が足を滑らせ瞬間的に四つん這いになった……すばやく体勢を立て直す。しかしそれはこの怪物たちが獣じみていることを示すには十分なものだった。

私は枝や葉を踏んで物音を立てないようにできるだけ静かに向きを変えると茂みの中に戻っていった。見つかることに対する恐怖が強くなっていたのだ。大胆に振る舞い、勝手気ままに行動する勇気はずっと前に消えていた。その瞬間に考えていたことはあのぞっとするような生き物たちから離れることだけで、自分が木々の間のかすかな踏み分け跡に出たことにも私は気がついていなかった。突然、小さな空き地に出た。嬉しくないことにそこで私は木々の間を足音も立てずに私の進む方向と平行に歩む不恰好な二本の足に気づいた。私からの距離は三十ヤードほどだ。頭と上半身はもつれ合うツルに隠れて見えない。相手が私に気がついていないことを願いながら私は唐突に立ち止まった。私と同じように足が立ち止まる。不安のあまり駆け出しそうになる衝動を抑え切れなくなりそうなほどだった。目を凝らすともつれ合うツルの間を通して水を飲んでいたあの獣の頭と体が見えた。相手の頭が動いた。彼が私を見た瞬間、その目が木々の影の間からエメラルドのように光った。彼が視線を戻すとその鈍い色が再び消える。しばらくの間、相手はじっとしていたがすぐに物音も立てずに緑の障害物の間を駆け出し、次の瞬間には茂みの背後へと消えた。私からは見えなかったが相手が立ち止まって再び私を監視していることが私にはわかった。

いったいあれは……人間なのか、それとも獣なのか? 私に何をしようというのか? 私には武器も無い。杖さえ無いのだ。逃げ出すのは狂気の沙汰だろう。あれがなんであれ、ともかく私に攻撃を仕掛ける度胸は無いのだ。私は歯を強く噛み締めると相手に向かって歩みを進めた。背筋が震えているのを見透かされ怯えているのがばれないか心配だった。私は白い花の咲き乱れるもつれあった背の高い茂みをかき分けて進み、二十歩ほど先に相手を見つけた。肩越しに私を見つめ、ためらっているようだった。相手の目を見つめたまま私はさらに一、二歩前進した。

「君は誰だ?」私は言った。

彼は私をにらみ返した。「来るな!」突然、彼は言うと私から離れるように向きを変えて下生えの中を進んだ。それから振り返って再び私を見つめる。木々の薄暗がりの中でその瞳が光を放っていた。

心臓が口から飛び出しそうだったが形勢を逆転するにははったりをきかせる以外にはなかった。私はゆっくりと彼に向かって進んだ。彼は踵を返すと薄暗がりの中に消えていった。再び彼の目が光るのが見え、それで終わりだった。

その時になって初めて私は自分の時間の感覚が遅くなっていたことに気づいた。太陽は数分前に沈み始め、熱帯の短い黄昏は既に東の空から消えていた。私の頭の周りを気の早い蛾が羽ばたいている。危険に満ちた得体のしれない森の中で夜を過ごすつもりは無かったので私は急いであの囲い地へと引き返さなければならなかった。あの苦痛と悪夢の隠れ家に引き返すことはなんとか避けたいことだったが屋外の闇の中に取り残されるというのはそれにも増して避けたかった。暗闇は全てを覆い隠してしまうだろう。私はもう一度だけあの奇妙な人間を飲み込んだ群青色の闇の方を見てから自分がどちらから来たのかを確かめるように自分の足あとを追って小川に向かって斜面を下っていった。

はやる思いで私は歩いていった。頭の中は多くのことで混乱していた。しばらくして気がつくと私は木々が散らばるように生えた平地に出ていた。日没の輝きの後の色味のない光景がだんだんと闇に沈んでいった。頭上の青空の色は刻々と色味を深めていき、星が一つ、また一つと弱々しい光を放ち始めていた。日中の光の下では輪郭のはっきりしない青みがかった色に見えた木々の間や生い茂った植物の隙間は黒く得体のしれないものへと変わっていった。私は急いだ。世界から色が消えようとしていた。樹々の先が明るい青空に真っ黒なシルエットを浮かび上がらせ、そこから下のものの輪郭は形もなく暗闇に溶けていった。次第に樹々が細くなっていき、低木のやぶが増えていく。そして白い砂に覆われた荒地に出くわし、またもつれ合う茂みに入った。来る時に砂地を横切った憶えはない。右手の方で聞こえるかすかな葉音が私に焦燥感を与え始めていた。最初は気のせいかと思った。立ち止まれば樹々の梢を吹き抜ける夜風の他には何の音もしなかった。再び私は道を急ぎ、自分の足音以外には何も聞こえなくなった。

茂みを避け、できるだけ開けた場所を進んだ。さらには私に忍び寄る得体のしれないものを驚かせるためにときどき唐突に振り向くようにした。何も見えなかったがその代わりに他の感覚が鋭敏になっていく。歩みの速度を上げてしばらくするとわずかに尾根になった場所にたどり着き、そこを越えてからさっと振り向くと尾根の反対側をじっと見つめた。尾根は暗い空を背景に黒くはっきりとそびえていたが次第になだらかな岩の塊になり、しばらくするとぼんやりとした影が尾根の上に浮かび上がった後、再び消えた。私は黄褐色の顔の敵が再び私を追跡していることを確信した。さらに悪いことに私は道に迷ってしまっていた。

しばらくの間、見えない何かに追われながら私は絶望と当惑の中で道を急いだ。あれが何であれ、私に攻撃を仕掛ける勇気がないか自分に有利な状況が訪れるのを待っているのだ。私は慎重に見通しの良い場所を選んで進んだ。何度か私は振り返っては耳をすましたが次第に私は追跡者が追跡を止めたか、そもそも混乱した自分の想像が生み出したたんなる妄想だったのではないかと思い始めた。その時、海の音が聞こえた。私はほとんど走るようにして先を急いだがまさにその瞬間、私の背後でつまずくような音がした。

急いで振り返ると私は輪郭のはっきりしない背後の樹々を見つめた。一つの黒い影が一本の樹の背後に飛び込んだように思われた。私は身を固くして耳をすましたが自分の体を流れる血液の音以外には何も聞こえなかった。神経が参ってしまい想像力がたくましくなっているのだと私は考え、再び海の音がする方向に決然と向かった。

数分の内に樹々が細くなっていき、私は暗い海に切り立つ岩だらけの低い岬へと出た。穏やかでよく晴れた夜空だった。たくさんの星々の輝きが穏やかに波打つ海の合間で反射していた。少し向こうでは不規則な帯状になった岩礁を洗う波が青白く光っていた。西の方には宵の明星の黄色い光と共に輝く星座の光が見える。海岸線が遠く東の方の眼下に見え、西の方向は張り出した岬に隠されていた。その時になって私はモローの浜辺が西の方にあったことを思い出した。

背後で枝を踏み折る音が聞こえ、かさかさという物音が聞こえた。私は振り返ると暗い森に向かって立ち尽くした。何も見えなかった……というより目に入る物が多すぎた。薄暗がりの下の暗闇全てが不吉に見え、目を逸らすことができなかった。一分ほどもそうしていただろうか。それから私は目を樹々の方に向けたまま、岬を横切ろうと西へ進んだ。私が動きだすと身を潜めていた一つの影が後をついて来るのがわかった。

心臓の鼓動が早くなる。次第に西の方に幅の広い入り江の海岸線が見えてきて私は再び立ち止まった。物音を立てない影は私から十二ヤードほど離れた所で立ち止まった。小さな光の点が遠く海岸線の端に見え、灰色に広がる砂浜が星明りの下にぼんやりと浮かび上がった。あの小さな光の点までおそらく二マイルといったところだろう。浜辺にたどり着くためには影の潜む樹々の森を通り抜け、茂みの中の坂道を下らなければならない。

今度は前よりもずっとはっきりとそれが見えた。動物ではなかった。直立している。話しかけようと口を開いたが喉がしゃがれ言葉が詰まって声がでない。私はもう一度気をとり直して叫んだ。「そこにいるのは誰だ?」返事はない。私は一歩踏み出した。それは動かずにその場で身を屈めただけだった。私の足が石に当たった。その時、私は思いついた。目の前の黒い影から目を離さないようにしながら私は屈み込んで石を拾い上げたが私の動きを見たそれはまるで犬のように突然向きを変えるとこそこそと暗闇の中へと逃げて行ったのだった。私は少年時代に大きな犬の群れに立ち向かった時のことを思い出し、石をハンカチでねじるように包むとそれを手首に巻いた。あれが逃げ去ったかどうか私は遠くの影の中をうかがった。敵が逃げ出し、自分は武器を手にしている。突然、緊張と興奮から解放され、私はどっと汗をかいて震え出した。

岬の中腹の樹々や茂みの中を通って浜辺へと下っていく決意を固めるまでには少し時間がかかった。ついに決心すると私は走った。茂みを通って砂地に出る瞬間、背後で何かが激しい音を立てるのが聞こえた。私は恐怖で頭が真っ白になりながらも砂地を走った。追いかけて来るしなやかな足の立てる軽い足音が聞こえてくる。私は獣のような叫び声を上げて懸命に駆けた。ウサギの三、四倍ほどの大きさのぼんやりした黒い影が走り出て、浜辺から私が通ってきた茂みへと跳ねた。

これから先もあの追跡の恐怖を忘れることは無いだろう。私は波打ち際を走った。次第に近づいてくる水を蹴散らす音が聞こえる。遠く、絶望するほど遠くに黄色い光が見える。あたりは闇と静寂に包まれていた。水を蹴散らす音。聞こえてくる追跡の足音。だんだん近くなってくる。息が続かない。ずいぶん長い間、運動からは遠ざかっていた。息をするたびに喘ぐような音がし、ナイフで切りつけられたような痛みを脇腹に感じた。囲い地に辿り着く前にあれに追いつかれることは明らかだった。絶望のうめきとすすり泣きが漏れる。私は振り向きざまに近づいてくるものにめがけて石を投げつけた……全力を振り絞って投げつけたのだ。巻きつけておいたハンカチから石が飛び出る。振り向くと四つん這いで走っていたそれは立ち上がっていて、そのちょうど左のこめかみに投げつけた石が当たった。頭蓋骨が大きな音を立て、獣人が私の方によろめく。相手はその手で私を押しのけるようにしながら前のめりの姿勢で砂地に倒れこみ、海水に顔を突っ込んだ。あとに残ったのは静寂だけだった。

その倒れこんだ黒い物体に近づく勇気は無く、私はその場を離れた。波がさざめき、星が静かに光っていた。家屋の黄色い光に向かって私は長い距離を歩き続けた。次第にピューマの哀れなうめき声が聞こえてきて私は元気を取り戻した。元はと言えばその声が私をこの謎の島の散策に駆り立てたというのに。気力を使い果たし恐ろしいほど疲労していたが私は全身の力を振り絞って光に向かって駆けていった。私を呼ぶ声が聞こえたように思った。


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