メイカーズ 第三部, コリイ・ドクトロウ

第六章


写真:泥酔のペリー・ギボンズ、ライドの花嫁ヒルダ・ハンマーセンをお持ち帰り

ウィスコンシン州マディソン:あなたがテクノユートピア主義者たちの「ムーブメント」を起こそうとしているとしよう。彼らテクノユートピア主義者たちは訪れた者にかつてのドットコムバブルの歴史を紹介する遊園地のネットワークを作り上げている。

その風呂にはいらない多愛主義的な情報ヒッピーの陽気な仲間たちが過去からよみがえった恐竜のようなメディア帝国の一部門である高圧的な暴力集団に襲われたとしよう。その法的な陰謀が全国規模の家宅捜索や暴力、催涙ガスの散布を引き起こし、あなたの「ムーブメント」が完全な停止状態に陥ったとしよう。

あなたはどうするだろうか? 裁判を起こす? 記者会見を開く? 忠実な信奉者たちを留置所から解放するために保釈金を用意する?

それとも異性と寝たり、酔いつぶれたり、学生の集団から反撃のための馬鹿げたアイデアを募ったりするだろうか?

もし後者を選んだのならあなたには良い仲間がいる。昨夜、自称ライド教カルトの「創始者」であるペリー・ギボンズが二十代の学生グループと酒を飲み、おおいに親交を深めているところを目撃された。場所はウィスコンシン州マディソンの片田舎、社会運動よりはチェダーチーズで有名な場所だ。

ギボンズは多感な思春期後期の若者たちを自らの武勇伝で楽しませながらも自らの法律上の問題や民兵組織、技術的な問題を解決するための彼らの戦略的な提案を熱心に書き留めていった。

ギボンズの関心と賞賛を得た提案の一つはベンチャー投資家に接近し、彼らにディズニーを訴えるための資本をせがむというものだった。裁判で得た賠償金でそのベンチャー投資家への払い戻しをおこなうというのだ。

ニューワークやその生まれ変わりである後のブームに群がる腐ったテクノヒッピーどもから聞いた話の中ではこの頭が捩れるような詐欺じみたスキームはもっともビジネスモデルに近いものだ。

気になるのは我らがチャーチ女史がどうやってこれを彼女のファンブログで取り上げるのだろうかということだ。若者たちの勧誘におけるギボンズ氏の狡猾さはまさに息を飲むばかりであり、それが大中西部の若きゲバラたちにとっては「思いもよらないもの」であることは疑いない。

しかしギボンズにも多少の同情の余地はあるだろう。直近のフロリダ地元警察との衝突で彼は腕を骨折したのだ。おそらくギボンズの風変わりな思考は痛み止め薬に負うところが大きいのだろう。もしそうなのであれば彼の若いブロンドのスカンジナビア系看護婦が(彼の大勢の同志が全国の牢獄にいる間に)慎重に彼を健康な状態へと回復させることを願うばかりである。

誰かを殺してしまう前にこの組織は消えてなくなるべきである。

この記事へのコメントはフレディ(honestfred@techstink.co.uk)まで。


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