統一科学の部門化, オットー・ノイラート

多数の小規模の科学部門――論理的始点としての


私たちは、これまで一般的に採用されたような、一つの整合的体系を成す諸科学の分類方法を持った経験がない。そのため、そのような諸科学の包括的体系を作ることは、統一科学の論理化を阻害することになりはしないか、という疑問が生じる[1]

伝統的体系の主要な分類は、例えばこんな感じだ。(「生物科学」と対照する意味での)「非生物科学」、(「具体科学」と対照する意味での)「抽象科学」、(「自然科学」と対照する意味での)「精神科学」。こういう分類方法に対しては、当然、非常に多くの科学的判断――例えば、特定の科学的手続きを特定の分野に適用するか否か――の容認と拒否が予想される。この困難を避けるには、科学を知識体系化した構造にありがちな早まった諸前提を使うのではなく、もっと別のタイプのスタート地点から始めればよいということに納得すればよい。大多数の科学部門(その多くは非常に小さい)は、可能な限り体系的に、一歩一歩組み上げていけるだろう。この組み上げの増大は、科学的研究と体系的論理化の増大と密接に関係している。化学と光学は、ただ分類しただけでは本当に結合することはできまい。

「論理学」、「数学」、「物理科学」、「生物科学」、「社会科学」といったよく見かける部門は、手引書や百科事典の巻本、図書館のセクションのような使い方ができるだろう。いわばこういう名前は、手引書や巻本やセクションが取り扱うテーマについての最初の情報を与えてくれる。図書館の司書は、一冊の本を見つけるために、書誌学的によく定義された唯一の場所を発見しなければならない。しかし、本を様々な書棚に配置するやり方を、そのまま諸科学を論理的枠組みに基づいて配置する方法に適用することはできない。書誌学における交差関係(cross-connection)は、必ずしもそれが本来の目的とする論理的分類の代用とはなりえないからだ。問題はいたるところで生じる。例えば、「地理学」は「物理科学」の下位クラスなので、上の伝統的枠組みに従えば「非生物科学」ということになる。しかし、古生物地理学は地理学の一部であると同時に生物学的特徴も備えている。すると「混合科学」なる分類を導入するべきだろうか? そうすると、大抵の科学は「混合科学」ということになってしまいそうな気もするが。

部門の「微小性」と「独立性」に反することなく、比較的はっきりした特徴を持つ科学部門をだけを厳選するという原則に従うと、次のような部門が得られよう――紋章学、犯罪学、ビジネスサイクル理論、エンジニアリング、美術史、音声学、比較文法、歴史研究の各種方法、人類地理学、精神医学、達成行動理論、人体測定学、メンデル学説、植物学の研究方法、ヒストリオメトリー、環境学、地理学、天文学、宇宙論、物理学、確率論、ベクトル解析学。比較的はっきりした特徴を持つ科学だけを厳選するという原則から出発すると、一見しただけでは明確な特徴によって分野の重複を回避できていないことが分かる。そうした研究分野の相関関係や異なる部門の共通テーマ、特定の科学単位の共通の論理的性質を示すためには、特別の努力が必要になる。これらの諸単位や新しく形成された諸単位を一つにまとめ上げるのは、それが終わった後の、第二段階の話である。


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