メイカーズ 第三部, コリイ・ドクトロウ

第八章


ナードの追っかけチャーチ、ライド仲間とファトキンス流の熱愛中

フロリダに住むハリウッド事情通のライドカルトの一人によるとニューワークの株バブルを煽る手助けをしたことで知られる有名ブロガー、スザンヌ・チャーチとこのカルトの共同設立者の一人が情熱的な関係の真っ最中であるらしい。

チャーチは引退して移り住んでいたサンクトペテルブルクから最近になって姿を現した。サンクトペテルブルクで彼女はロシアの実験的整形手術をおこなう新世代の肉屋の広告記事報道記事を執筆していた。

ニューワークでの株価操作の頃からの古い仲間であるレスター・バンクスとペリー・ギボンズによって設立されたライドネットワークの噂にチャーチは誘い出されたようだ。今ではそこにさらに見知った面々が加わっている。不祥事を起こしたコダセルの前CEOであるランドン・ケトルウェルとバンクス/ギボンズ悪徳商会の前経営マネージャーであるティジャン・タンだ。

だが当地に到着してまもなくチャーチはバンクスと交際を始めた。バンクスは早い時期にファトキンスになった男であり、ニューワーク・ムーブメントの熱烈な支持者である。また彼は技術者でもあり、ニューワークでの数多くの「発明」の記事で仲間のエンジニアたちをとりこにしている……あるメッセージボードのコメントは彼を「スティーブ・ウォズニアックと文鮮明尊師を足して二で割ったような」人物と評している。

さて目撃者の証言によれば彼らはまるで交尾中のマーモットのように励み、生体改良のおかげでバンクスはチャーチのしわのよった体に日に六度も襲いかかっているのだという。どうやらこのロマンスはバンクスが過去の姿であったときから始まっていたようだ。過去というのは簡単に言えばバンクスが強大な肥満体であった頃ということだ。過激な減量はバンクスを「スザンヌ・チャーチが一緒にベッドで遊ぶ気になる男たち」のカテゴリーに押し込んでくれたようだ。

これら全てはたんなる卑しいゴシップにしか過ぎない。しかしチャーチが公平性や情報公開に微塵の注意もはらわないまま再び精力的にフロリダのカルトどもの冒険物語の執筆をしていることやジャーナリストごっこに興じていることは事実である。

気になるのは金銭的な動きである。チャーチの行く所、必ず金の匂いがつきまとうのだ。このライドの騒動にも金銭的な意味があると考えてまず間違いないだろう。

更新:

以下のことが確認された:匿名を強く希望した内通者が明らかにしたところでは古典的なねずみ講に似た「協同組合」構造を作るための書類が存在するとのことだ。その書類によればライドのフランチャイズ運営者は自分より上位の運営者に会費を支払うことを求められるそうだ。チャーチの記事にある冒険物語が新しいカモの群れを引き寄せることは間違いない……私たちがスザンヌ・チャーチについて知っていることがあるとすればそれは彼女はカモから金を奪うすべを知り尽くしているということなのだ。


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