統一科学の部門化, オットー・ノイラート

科学の統一


もし非常に多くの、互いに重なり合う諸分野(その幾つかは比較的広い範囲を持ち、また幾つかは狭い範囲を持つ)から始めるなら、あらゆる種類の言明を公理化することができるかもしれない。ある種類の言明の構造が、別の種類の言明の構造と同一であるようなケースを全て選抜できるかもしれない[3]。見かけ上はかけ離れた分野同士が、共通の主題をその本質とする場合を発見することもあるだろう。統一の持つもう一つの重要なファクターは、天文学、生物学、地理学、メンデル学説、紋章学、美術史の諸言明が、日常言語の普通の用語(ただし危険な用語は省く)に科学用語を追加して構成される「普遍言語(universal slang)」[4]を用いて定式化可能であることを示す努力にある。天文学や美術史、メンデル学説、等々の用語が「普遍言語」の用語に還元可能であることは、部分的には「単純定義」と「条件的定義」に基礎づけられる[5]。もう一つの問題は、科学の言明と法則をいかにして特定のタイプの言明と法則に還元するか、というものである。「物理主義」のプログラムがこうした問題を扱う。

統一によって、伝統的な主要部門においては結びついていた分野同士が分離したり、またはその逆のことも起こるかもしれない。いわゆる社会科学の下位分野が普遍的な社会科学的語彙集合に基礎づけられていると仮定するのは間違いであろう。社会科学の枠組みの中では、人々によって作られたものが論じられてきた。もしかしたら、そうした多くの下位分野においては、その意味内容を変えることなく「人間」という語を使用しないことになるかもしれない。例えば、歴史言語学者は、「特定の」社会学的・生物学的用語を使わなくとも「子音の変化」について分析することができる。子音は、人間の舌を使わなくても、蓄音機によって合成的に作り出すことができるだろう。年代別に並べた絵画や建築の間に相関関係を発見することも可能であろう。その際には、「子音の変化」を演繹するための生物学的・社会学的言明のような、民族や個人の行動を扱い、そこから相関関係を演繹できる言明を持つ包括的な理論について知っている必要はない。

分析を行なう科学者は、小さな領域から大きな領域へ進み、重層的な相関関係と非常に豊かな論理的パターンを形成する組み合わせを発見するであろう。


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